学習における「中2問題(プロブレム)」 中2生は勉強嫌いが約6割大規模な追跡調査で判明した「勉強が好きになった子」の特徴とは

東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所 共同研究プロジェクト「子どもの生活と学びに関する親子調査2016」結果速報

東京大学社会科学研究所(東京都文京区)と株式会社ベネッセホールディングス(本社:岡山市)の社内シンクタンク「ベネッセ教育総合研究所」は、 2014年に、 「子どもの生活と学び」の実態を明らかにする共同研究プロジェクト(親子パネル調査※)を立ち上げました。
このプロジェクトでは、 同一の親子(小学1年生から高校3年生、 約2万1千組)を対象に、 2015年以降、 複数の調査を実施しています。 今回は、 2015年と2016年の2時点における調査から、 12学年にわたる学習の実態や変化を明らかにしました。 主に、 学習意欲(勉強の好き嫌い)に注目し、 勉強が好きになった子にはどのような特徴があるのかを検討しています。

本調査の主な結果は、 以下の通りです。

1.中2生と高1生は、 1年前よりも学習時間を減らす子どもが5~6割いる。
●学習時間の平均は、 小1生から中1生まで堅調に増加するものの、 中1生から中2生にかけて8分減少する。 同様に、 中3生から高1生にかけては31分減少する。 【図1】
●同じ子どもの変化を1年間追跡した結果では、 中2生の約半数、 高1生の6割が前年よりも学習時間を減らした。 中だるみや学習ばなれが起きやすい学年であることがわかる。 【図2】
2.勉強が「嫌い」は中2生ではじめて半数を超え、 約6割に。
●勉強が「嫌い」(「まったく+あまり好きではない」、 以下同様)は、 小1~6生では2~3割にとどまる。 しかし、 小6生から中2生にかけて26.0ポイントも増加し、 中2生で約6割に達する。 【図3】
3.1年の間に「嫌い」だった勉強が「好き」に変わる子どもが約1割いる。
●同じ子どもの勉強の「好き嫌い」について1年間の変化をみると、 「好き→嫌い」に変わった比率は小6生→中1生(19.2%)や中1生→中2生(17.4%)に多い。 一方、 「嫌い→好き」に変わる子どもも、 すべての学年で1割程度いる。 【図4】
4.勉強が「好き」になった子どもは、 学習時間が増加し、 成績も上昇。
●勉強が「嫌い→好き」になった子どもは、 他の子どもに比べて前年よりも学習時間を増やしている(35分増加)。 また、 成績が上がったのは26.8%で、 他の子どもよりもその比率は高い。 【図5】
5.勉強が「好き」になった子どもは、 高い学習意欲をもち、 学習方法を工夫している。
●勉強が「嫌い→好き」になった子どもは、 「新しいことを知るのがうれしい」という内発的な学習動機をもって勉強している比率が高い(35.2ポイント差)。 【図6】
●勉強が「嫌い→好き」になった子どもは、 さまざま学習方法を工夫している比率が高い。 【図7】

※「子どもの生活と学び」研究プロジェクト・親子パネル調査
小学1年生から高校3年生までの親子(約2万1千組の調査モニター)に対して、 子どもの生活や学習の状況、 保護者の子育ての様子をとらえる定期的な調査を毎年1回以上行い、 子どもの成長のプロセスや成長に必要な環境・働きかけを明らかにしています。 12学年にわたる親子の実態を捉えることができる調査としては国内で類をみない規模であり、 子どもの成長・発達、 子育て・教育のあり方を考えるうえで貴重なデータといえます。 本プロジェクトでは、 子どもの自立を「生活者としての自立」「学習者としての自立」「社会人としての自立」の3つの側面でとらえ、 2015年調査は「生活者としての自立」、 2016年調査は「学習者として自立」をテーマに実施しています。
●東京大学社会科学研究所・本プロジェクトHP: http://web.iss.u-tokyo.ac.jp/clal/
●ベネッセ教育総合研究所・本プロジェクトHP: http://berd.benesse.jp/special/childedu/

今回の調査では、 子どもが自ら学び続けるうえで重要な要素である「勉強が好き」の比率が小6生から中2生にかけて減少し、 「嫌い」が大幅に増えることがわかりました。 「嫌い」の比率は中3生以降も高く、 勉強が嫌いなまま高校を卒業する子どもたちが多くいます。
一方で、 1年間の追跡調査の結果からは、 勉強が「嫌い」な子どもが増える中学生以降にも、 「勉強が好きになった子」が1割程度いることがわかりました。 こうした子どもの特徴を分析することで、 勉強が好きになるためにはどうしたらよいかを考える手がかりが得られます。 この子たちの多くは、 「新しいことを知るのがうれしい」(内発的動機づけ)、 「自分の希望する高校や大学に進みたい」(同一化的動機づけ)といった高い学習意欲をもち、 さまざまな学習方法を工夫しています。 また、 追跡した1年の間に学習時間を増やしたり、 成績が上がったりした比率が相対的に高いのも特徴です。 学習動機をもち、 一定の学習時間を確保し、 効果的な学習方法を身につけていくことが、 「勉強好きな子ども」を育てるうえでとても大切なことがわかります。
これ以外にも、 本調査の中には、 「中2問題」を解決するヒント、 「勉強好きな子ども」を育てるヒントがたくさんあります。 本プロジェクトでは、 子どもの「自立」の重要な要素の一つである「学習」について継続的に調査します。 日ごろの経験や学校生活は学習にどう影響しているのか、 保護者や周囲の大人はどのような支援をすべきかなどについて分析を深め、 今後も結果を発信していきます。

■調査概要

名称 「子どもの生活と学びに関する親子調査2015」
(第1回、 Wave1)
「子どもの生活と学びに関する親子調査2016」
(第2回、 Wave2)
調査テーマ 【子ども調査】 子どもの生活と学習に関する意識と実態
【保護者調査】 保護者の子育て・教育に対する意識と実態
調査時期 第1回:2015年7~8月、 第2回:2016年7~8月
調査方法 第1回:郵送およびインターネットによる自記式質問紙調査
※回答者がどちらかを選択。
第2回:郵送による自記式質問紙調査
調査対象 全国の小学1年生~高校3年生の子どもとその保護者
(小学1~3年生は保護者のみ回答)
*本研究プロジェクトの調査モニター対象。
第1回:配布数:21,569(子ども16,065)、 有効回収数:16,776(子ども11,982)、 有効回収率:77.8%(子ども74.6%)
第2回:配布数:21,485(子ども15,868)、 有効回収数:16,013(子ども11,014)、 有効回収率:74.5%(子ども69.4%)
調査項目 【子ども調査】起床・睡眠時刻/ふだんの生活時間/学習時間/
勉強の好き嫌い/勉強する理由/勉強方法/学校生活/学校の授業方法/
好きな教科や時間/自分は文系か理系か/成績の自己評価/部活動/勉強場所/習い事/学習塾/アルバイト/保護者との会話/保護者とのかかわり/1年間の経験/得意・苦手/自分について/進学意識/学歴・競争意識/なりたい職業 など
※小1~3生は、 子ども調査の項目の一部を保護者が回答。
【保護者調査】子育ての悩みや気がかり/子どもとのかかわり/教育観/習い事/学習塾/教育費/保護者自身のふだんの生活 など
「子どもの生活と学び」研究プロジェクト、 および本調査企画・分析メンバー プロジェクト代表者
●石田浩(東京大学社会科学研究所教授)/
谷山和成(ベネッセ教育総合研究所所長)
調査企画・分析メンバー
●耳塚寛明(お茶の水女子大学教授)/秋田喜代美(東京大学教授)/
松下佳代(京都大学教授)/佐藤香(東京大学教授)/藤原翔(東京大学准教授)/香川めい(東京大学特任助教)/須藤康介(明星大学准教授)※親子調査2016/小野田亮介(山梨大学准教授)※親子調査2016
●木村治生(ベネッセ教育総合研究所副所長)/小泉和義(ベネッセ教育総合
研究所副所長)、 邵勤風(ベネッセ教育総合研究所初等中等教育研究室室長、 主任研究員)/橋本尚美(ベネッセ教育総合研究所研究員)/
岡部悟志(ベネッセ教育総合研究所研究員)/佐藤徳紀(ベネッセ教育総合研究所研究員)/太田昌志(ベネッセ教育総合研究所特任研究員)/
渡邉未央(ベネッセ教育総合研究所研究スタッフ)

 

■主な調査結果
1.中2生と高1生は、 1年前よりも学習時間を減らす子どもが5~6割いる。
●図1 平均学習時間(1日あたり、 学年別・平均時間、 2016 年)

●図2 学習時間の1年間の変化(1日あたり、 学年別、 2015年7月→2016年7月の1年間)

2.勉強が「嫌い」は中2生ではじめて半数を超え、 約6割に。
●図3 勉強が「嫌い」の比率(学年別、 2016年)

3.1年の間に「嫌い」だった勉強が「好き」に変わる子どもが約1割いる。
●図4 勉強の好き嫌いの1年間の変化(学年別、 2015年7月→2016年7月の1年間)

4.勉強が「好き」になった子どもは、 学習時間が増加し、 成績も上昇。
●図5 学習時間と成績の1年間の変化(中学生、 2015年7月→2016年7月の1年間、 勉強の好き嫌いの変化別)

5.勉強が「好き」になった子どもは、 高い学習意欲をもち、 学習方法を工夫している。
●図6 勉強する理由(中学生、 2016年、 勉強の好き嫌いの変化別)

 

●図7 勉強方法(学習方略)(中学生、 2016年、 勉強の好き嫌いの変化別)

●今回の調査結果は以下のページで公開しています。
http://berd.benesse.jp/shotouchutou/research/detail1.php?id=5095

●今後も、 子どもが自立するうえでの課題とその解決にむけた発信を続けていきます。
※6月以降、 定期的にニューズレターなどを配信予定。

以 上

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